予定していた日は中止、それでも最終日へ

KANのap bank fes初出演は2007年でした。その前年の2006年11月には、櫻井和寿と「パイロットとスチュワーデス」というユニットを結成して共演しています。2007年の公式ライブレポートも、櫻井がKANを尊敬し、その音楽から影響を受けていた関係を紹介しています。

公式資料では、誰がどのように初出演を依頼したかまでは確認できません。ただ、フェス以前から二人に共演と敬意の積み重ねがあったことは、初出演へ至る背景として見えてきます。

当初予定されていた7月14日は台風で中止。KAN自身の記録によると、会場を離れる直前に小林武史から最終日16日の予定を尋ねられ、急きょBank Bandとのステージが実現しました。

公式映像作品には、この日に演奏されたKANの「世界でいちばん好きな人」と「愛は勝つ」が収録されています。

翌年からも、Bank Bandと

2008年の公式ライブレポートは、KANを前年に続く出演者として紹介しています。この日は「何の変哲もないLove Song(Bank Band ver.)」「50年後も」「愛は勝つ」の3曲を演奏しました。

2010年は「TOKYOMAN」「愛は勝つ」「よければ一緒に」の3曲。KAN自身の記録には、候補から櫻井和寿の提案で「TOKYOMAN」を選び、「愛は勝つ」へつなぐ曲順が決まった経緯も残っています。

2012年は会場がつま恋だけでなく淡路島とみちのくへ広がり、KANは8月4日の淡路島に出演しました。公式映像作品では、この公演から「and I love you」を確認できます。

オンライン開催にも続いた関係

2021年の「ap bank fes ’21 online in KURKKU FIELDS」でも、KANはGreat Artistsの一人としてBank Bandと共演しました。「何の変哲もないLove Song」「愛は勝つ」に続き、櫻井和寿と「君のマスクをはずしたい」、二人のアカペラによる「弾かな語り」を披露しています。

ステージから共作、そして追悼へ

二人の関係はライブだけにとどまりません。2016年2月3日発売のKANのアルバム『6×9=53』に収録された「安息」は、KANが作曲し、桜井和寿が作詞した共作です。KANの全曲解説によると、曲を作ってから約1年間歌詞を書きあぐねた末、桜井なら良い詞を書いてくれるはずだと考えて依頼し、桜井が引き受けました。

KANの逝去から1年となる2024年11月12日には、ぴあアリーナMMで「KANタービレ~今夜は帰さナイトフィーバー~」が開催され、KANを慕うアーティストの一人として桜井和寿も出演しました。

2007年の急な初出演から、2008年、2010年、2012年、そして2021年へ。KANとBank Bandの関係は、一度のゲスト出演ではなく、開催形態が変わっても繰り返されたステージの記録として残っています。