学生時代から聴いていた憧れの人
平井堅は、歌手としてデビューする前の学生時代からKANの音楽を聴いていた熱烈なファンでした。二人の最初の接点は、まだ顔を合わせる前の1998年に生まれます。
KANが福岡のCROSS FMを訪れた際、平井堅がKANのファンだと知る番組ディレクターから、本人には内緒でコメントを頼まれました。その声が平井のレギュラー番組「Music Voice~聞いてもらってすいません!~」で放送されます。KANもこのころ、平井の「Love Love Love」を初めてきちんと聴き、ソウルフルで格好良い曲だと感じたと振り返っています。
1999年、客席から終演後の廊下へ
直接会ったのは翌1999年。平井は川崎のCLUB CITTA’でKANのライブを観ました。KANの記憶では12月1日、終演後の廊下には関係者が並び、二人は離れた場所から短く挨拶しただけでした。KANは後になって、平井がその後も自分のライブへ足を運んでいたことを知ります。
憧れていた音楽家と会えても、すぐ仕事仲間になったわけではありません。公式インタビューが「きちっと」会うまでには時間を要したと記すように、この短い初対面から次の転機までには約8年がありました。
2007年、ファンから楽曲の依頼者へ
距離が縮まったのは2007年冬です。翌2008年に開局20周年を迎えるJ-WAVEのアニバーサリーソングを制作することになった平井は、KANへ作詞・作曲を依頼しました。「KANさんの作りたいように、KANさんらしい曲を」とすべてを任せる依頼でした。
二人が落ち着いて顔を合わせたのは、その打ち合わせのときでした。直後に飲みに行ったものの、学生時代からの憧れを前にした平井はまだ緊張していたとKANは回想しています。仕事をきっかけに、二人はやがてプライベートでも付き合う間柄になりました。
平井堅がKANへ託した一曲
この依頼から生まれたのが、2008年3月12日発売の平井堅のアルバム『FAKIN’ POP』に収録された「Twenty! Twenty! Twenty!」です。KANは作詞・作曲だけでなく、編曲とレコーディングの進行まで担いました。
KANは楽しいディスコ曲としっとりしたバラードの二つのデモを作り、前者が選ばれました。平井の歌をイメージして作った曲だけに、歌入れでは完成形へ近づいていく声を楽しみながらディレクションしたと語っています。学生時代に聴いていた音楽家へ、自分が歌う一曲を丸ごと委ねる仕事になりました。
発売日の時点でKANは45歳、平井堅は36歳。二人の生年月日を公式プロフィールで日まで確認できるため、作品ページでも発売時年齢を表示します。
提供曲が二夜の共演になる
作品で生まれた関係は、2010年3月20日の大阪と22日の神戸でステージへ移りました。KAN自身の公演記録によると、平井堅がKANのバンドツアーへゲスト出演し、「Twenty! Twenty! Twenty!」に加えて「POP STAR」とKANの「君が好き胸が痛い」を共演しました。
学生時代の一人のリスナーから、ライブへ通うファン、楽曲を託す歌い手、そして同じステージで互いの曲を歌う友人へ。KANと平井堅の関係は、長い時間をかけて少しずつ近づいていきました。