「別の人が歌ったほうがいい」を形にする
2024年11月12日、KANが亡くなってから1年となる日に、ぴあアリーナMMで「KANタービレ~今夜は帰さナイトフィーバー~」が開かれました。企画・構成を担ったホストは、スターダスト☆レビュー、馬場俊英、スキマスイッチ、秦基博の4組です。
根本要は冒頭、KANが自分の歌は別の人が歌ったほうがよいと話していたことを紹介しました。その言葉どおり、20曲を単独のカバーの連続にはせず、KANと異なる時間を共有した人たちの組み合わせで手渡していく公演になりました。
ユニットと共作を、別の組み合わせで鳴らす
KはKANと「K-KAN」を組み「赤字のタンゴ」を制作した間柄です。この日は和田唱、林幸治と「プロポーズ」に参加し、佐藤竹善とは「Songwriter」を歌いました。山崎まさよしはKANと「YAMA-KAN」を組み、佐藤竹善と「カレーライス」、馬場俊英と「ロックンロールに絆されて」を演奏しました。
秦基博との「カサナルキセキ」は、同じコード進行からKANが作った「キセキ」と秦が作った「カサナル」を重ねる共作です。公演では秦の歌とギターに、映像から流れるKANの声が重なりました。本人不在の追悼公演でありながら、過去の録音を単なる回想ではなく、もう一度デュエットを成立させる音として使っています。
敬意と遊びを受け取った人たち
桜井和寿は、KANと「パイロットとスチュワーデス」を組み、Mr.Childrenのデビュー当時から交流を重ねてきました。「君が好き胸が痛い」「まゆみ」を歌い、トータス松本と「Oxanne ~愛しのオクサーヌ~」を演奏しました。
ASKAは、自身へのオマージュとしてKANが作った「Moon」と、根本要との「REGRETS」を歌いました。杉山清貴と谷村有美は「東京ライフ」、大橋卓弥とトータス松本は「エキストラ」、藤井フミヤは「世界でいちばん好きな人」を引き受けました。最後には根本要と杉山清貴が「すべての悲しみにさよならするために」を歌い、出演者全員の「よければ一緒に」へつなぎました。
KANのバンドが、KANのいない舞台を支える
歌い手だけでなく、KANのライブや録音を長く支えた演奏者も集まりました。添田啓二、岡崎昌幸、清水淳、西嶋正巳、佐藤大剛、菅原龍平、磯貝サイモン、大坂孝之介と、室屋光一郎、徳永友美、島岡智子、奥泉貴圭によるストリングスです。
アンコールではホスト4組が「KANのChristmas Song」をKANの声とともに歌い、最後は全出演者で「愛は勝つ」を合唱しました。この公演で確認できる関係は、漠然とした「仲が良かった」という一本の線ではありません。ユニット、共作、ツアー、録音、長年のライブ演出という別々の積み重ねが、20曲の配役として表れています。