会う前から、互いの歌を聴いていた

あいみょんは、平井堅のアルバム『SENTIMENTALovers』を、父からもらった黒いラジカセで繰り返し聴いていました。一方の平井堅も、あいみょんが広く知られる前からその存在に気づいていました。平井堅公式サイトのライナーノーツによれば、2017年のラジオ番組で「最近気になるアーティスト」を尋ねられ、あいみょんの名前を挙げています。

一人は以前から聴いてきた憧れの歌手。もう一人は、まだ大きくブレイクする前の歌い手に目を留めた先輩。二人の関係は、直接会うより先に、それぞれが相手の音楽を知るところから始まっていました。

初対面で交わした、いつか一緒にという約束

二人が初めて会ったのは、生放送の音楽番組でした。あいみょんは緊張しながら平井堅の楽屋へ挨拶に向かい、そこで平井から一緒に曲をやろうと声をかけられたと振り返っています。

その場では信じきれないほどの驚きだったという言葉が、のちの共作発表に本人コメントとして残りました。顔を合わせた日の挨拶が、社交辞令ではなく作品へ向かう約束になっていきます。

平井堅が、あいみょんを自分の店へ迎える

2019年5月22日、日本武道館で行われた「Ken's Bar 20th Anniversary Special!! vol.4」の最終公演に、あいみょんがスペシャルゲストとして登場しました。

平井堅の公式Biographyには、二人があいみょんの「愛を伝えたいだとか」と、平井の「鍵穴」をデュエットした記録が残っています。あいみょんが聴いてきた歌手のステージへ、今度は歌う相手として招かれた夜でした。

翌月、あいみょんが平井堅を呼んだ夜

その1か月後の2019年6月22日、二人は宮城のSendai PITで再び同じステージに立ちました。あいみょんが各地で異なる相手を招いた対バンツアー「AIMYON vs TOUR 2019 “ラブ・コール”」の一夜です。

公式ツアー記録には、この仙台公演の相手として平井堅の名前が残っています。聴き手だったあいみょんが、自分のツアーへ憧れの歌手を招く側になった共演でした。

平井堅が、あいみょんを思って書いた歌

2020年3月27日、約束は配信シングル「怪物さん feat.あいみょん」として形になりました。平井堅が作詞・作曲し、あいみょんをフィーチャリング・ボーカルに迎えた二人の歌です。サウンドプロデュースと編曲はトオミヨウが担いました。

平井堅は、あいみょんをイメージして曲を書いたと公式発表で説明しています。誰かの既存曲へ声を添えるだけではなく、平井が見つめたあいみょんの存在から曲そのものが生まれ、その本人と掛け合う作品になりました。

発売日の時点で、平井堅は48歳、あいみょんは25歳。二人とも出典から生年月日を日まで確認できるため、作品ページにも発売時年齢を表示します。

憧れから、互いの声を置く一曲へ

あいみょんが平井堅のアルバムを繰り返し聴いていたこと。平井が早くから彼女の名前を挙げていたこと。初対面で交わした約束と、互いのライブへ招き合った二つの共演。その積み重ねの先で「怪物さん」は生まれました。

憧れて聴いていた側と、才能を見つけて曲を書いた側。その二人の声が一つの作品に残ったことで、関係は「影響を受けた」という言葉だけではなく、発売日とクレジットを持つ具体的な記録になっています。