つながりの中心にある一曲

永積タカシ、高野寛、原田知世、忌野清志郎。この四人のあいだには、「サヨナラCOLOR」という一本の道が通っています。

出発点は、永積がボーカルを務めたSUPER BUTTER DOGの楽曲です。永積が作詞・作曲した歌を、高野がプロデュースしました。やがて一曲は同名映画の着想となり、原田が物語の中心を演じ、永積と忌野が二人で歌う録音も生まれます。

四人を単純な線で結ぶのではなく、一曲が音楽から映画へ渡り、それぞれが異なる役割で集まった道を辿ってみます。

高野寛が作品になる瞬間を支えた

高野寛は、自身の制作記録で、SUPER BUTTER DOGのアルバム制作にプロデューサーとして加わった経緯を振り返っています。バンドが自分たちだけで作品を作ってきた時期を経て、高野のポップス感覚と、彼らのブラックミュージックを基盤にした演奏が交わることになりました。

永積は後年、高野がいなければ「サヨナラCOLOR」を作品にしていたかわからない、という趣旨の言葉を寄せています。ここにあるのは、曲を書いた人と、完成へ向かう背中を押した人の関係です。

高野と永積の接点はこの一度だけではありません。永積は高野のアルバム『確かな光』でも、「1.2.3.4.5.6.7 days」と「hibiki」のコーラスに参加しています。

一曲が、原田知世の演じる映画になった

「サヨナラCOLOR」は竹中直人に着想を与え、2005年8月13日公開の同名映画へ発展しました。竹中が演じる医師・佐々木正平の初恋の人で、患者として再会する笈川未知子を原田知世が演じています。

原田は題名の歌を歌う役ではなく、物語の中心を担う俳優として参加しました。一方、永積はハナレグミとしてクラムボン、ナタリー・ワイズと映画音楽を担当しています。一人は出演、一人は音楽。同じ映画に参加していても、作品を間に置くことで役割の違いまで見えてきます。

音を作った人たちが、画面の中にもいる

映画には、原田知世だけでなく、この歌をめぐる音楽家たち自身も出演しています。国立映画アーカイブの所蔵フィルム情報では、永積タカシは「入院患者男A」、高野寛は「医者」として記録され、忌野清志郎もキャストに名を連ねています。

永積と高野は原曲を作る側でつながり、永積は映画音楽にも参加しました。その二人と、のちにデュエットする忌野が、今度は同じ映画の画面にも現れる。楽曲のクレジットだけでは別々に見えた関係が、映画を開くともう一度重なります。

映画から、忌野清志郎とのデュエットへ

映画のエンディングに使われたのが、ハナレグミと忌野清志郎によるデュエット版です。ハナレグミの公式記録では映画のエンディングで使われたものと説明され、忌野清志郎の公式サイトにも、永積と清志郎がデュエットしたタイトル曲がサウンドトラックへ収録された記録が残っています。

永積が書き、高野との制作で形になった歌を、今度は忌野が永積と声を重ねて歌う。一曲の履歴を辿ることで、世代や活動領域を越えたつながりが見えてきます。

このデュエットを収めた映画音楽盤が発売されたのは、2005年8月6日。忌野清志郎が亡くなった2009年5月2日まで、約3年9か月でした。後から振り返れば、晩年に公表された歌唱記録の一つです。

もちろん、「サヨナラ」という題は、永積が2001年に発表した原曲から受け継がれたもので、清志郎との別れを予告した言葉ではありません。それでも、二人の声が残った時間を知ってから聴くと、この題名は作品が生まれた当時とは別の響きも帯びます。

人ではなく、音楽から人へ

この四人の関係を表す中心語は、交友関係ではなく「サヨナラCOLOR」です。

高野寛は原曲のプロデューサーとして、原田知世は映画の主演俳優として、忌野清志郎はデュエット版の歌い手として参加しました。さらに永積、高野、忌野は映画にも出演しています。誰と誰が知り合いかだけを見るより、作品と役割を間に置くことで、一曲が映画になり、同じ人たちが別の形で交差する過程を確かめられます。

一曲を入口に人を辿り、別の作品へ進む。そこからまた次の音楽家が見えてくる――「サヨナラCOLOR」は、そんな聴き方にふさわしい一曲です。