バンドの外へ出たEBI

堀内一史は、ユニコーンでベースとボーカルを担う一方、EBI名義でソロ作品を残しています。その選曲をまとめた『EBI セルフセレクション』には、ユニコーン時代の「ペケペケ」と並んで、ソロ作品『MUSEE』から「八月の漂流者」と「十九回目の普通」が収められています。

バンドの中で知られた声が、一人の名義でどのような音をまとうのか。そこで編曲を担ったのが高橋幸宏でした。

「八月の漂流者」を整える

「八月の漂流者」は、森雪之丞が詞を書き、堀内一史が曲を書いた歌です。歌と旋律の中心は堀内にあり、その周囲の音の配置を高橋幸宏が組み立てました。

高橋はドラマー、歌手、作曲家であると同時に、他者の声や曲をどのような質感で届けるかを考える編曲家でもありました。ここで二人は、同じバンドのメンバーとしてではなく、曲を書いて歌う人と、その曲の景色を整える人として出会います。

もう一曲の「普通」

「十九回目の普通」も、作詞は森雪之丞、作曲は堀内一史、編曲は高橋幸宏です。同じ三人の分担が二曲続くことで、一度きりの参加ではなく、作品のまとまりを一緒に作ったことが見えてきます。

二曲に共通するのは、堀内の書いた旋律と声を、高橋が別の作者の色へ塗り替えていないことです。編曲という役割は表面から見えにくくても、歌い手がどのように聞こえるかを支えています。

高野寛から、もう一人の歌い手へ

高橋幸宏を辿ると、高野寛のデビュー作をプロデュースし、pupaでは同じメンバーとして演奏し、後年には高野から記念曲を贈られた関係がありました。

そこから別の枝へ進むと、堀内一史のソロ曲を二度にわたって編曲した高橋がいます。同じ人物でも、見いだす人、共演者、曲を受け取る人、そして他者の歌を包む人へ役割が変わる。その変化こそ、クレジットを辿る面白さです。