路上で歌った「夏色」が、二組をつなぐ
いきものがかりの始まりを辿ると、ゆずの歌に行き着きます。
水野良樹はJ-WAVEの番組で、高校生の頃に同じ神奈川県出身のゆずから影響を受け、路上ライブを始めたと振り返っています。本人が語る結成当時のこと
1999年2月1日、水野と山下穂尊がいきものがかりを結成。同年11月3日には吉岡聖恵が路上ライブに参加し、三人組になりました。三人での初めての路上ライブで歌ったのが、ゆずの「夏色」だったと伝えられています。公式プロフィール・「夏色」との接点を紹介した報道
ゆずは、ただ好きで聴いていた先輩というだけではありません。自分たちも歌ってみようと動き出したとき、その歌が目の前にあったのです。
「イロトリドリ」を、五人で録り直す
その二組の名前が、一曲の名義に並びます。
2017年4月26日発売のベストアルバム『ゆずイロハ 1997-2017』に収録された「イロトリドリ(ゆず×いきものがかり)」。同じディスクには元の「イロトリドリ」も入り、最後の17曲目に共演版が置かれています。公式収録曲一覧
録音が行われたのは2016年秋頃から年末にかけて。いきものがかりが2017年1月に活動休止を発表する前のことです。ゆず側はいきものがかりのイメージからこの曲を選び、両者がアレンジの案を出し合って制作しました。制作時期と選曲の経緯・活動休止と再開の公式記録
ゆずの北川悠仁・岩沢厚治と、当時のいきものがかり三人。この顔ぶれで生まれる音や雰囲気を大事にした制作だったことが、MV公開時にも紹介されています。録音中に撮影された映像は、公式YouTubeで見ることができます。MV制作の紹介・公式MV
路上で先輩の曲を歌っていた三人が、今度は先輩と一緒に、その曲を新しくする側へ回る。「イロトリドリ」は、二組の距離が変わったことを録音として聴ける一曲です。
吉岡聖恵が選んだ「少年」
翌2018年10月24日、吉岡は初のソロアルバム『うたいろ』を発売します。自分が歌いたい曲を選んだカバー集で、その1曲目に置いたのは、北川悠仁が作詞・作曲したゆずの「少年」でした。『うたいろ』公式作品情報
五人で一緒に作った「イロトリドリ」から、一人の歌い手として向き合う「少年」へ。ゆずの音楽との接点は、いきものがかりのグループ活動の外にも続きます。
今度は、ゆずが「YELL」を歌う
2024年2月14日発売の『いきものがかり meets』では、歌を受け取る方向が変わりました。ゆずが歌ったのは、いきものがかりの「YELL」です。ゆず公式の参加告知
この企画では、参加するアーティストに、音のアレンジだけでなく曲の構成や歌詞も含めた自由な解釈を委ねています。「YELL」のサウンドプロデュースには、トオミヨウと北川悠仁の名前が並びます。ゆずは先輩として祝福の言葉を寄せるだけでなく、いきものがかりの曲を自分たちの作品として作り直すことで応えました。企画趣旨と制作クレジット・公式試聴映像
二十周年の会場にも、ゆずの歌がある
2026年3月15日、いきものがかりのデビュー20周年を祝う「超いきものがかりフェス」に、ゆずが出演しました。会場はLaLa arena TOKYO-BAY。ゆずは「YELL」や「少年」、そして「夏色」などを披露したと、当日のライブレポートに記録されています。出演日と会場・当日のレポート
2021年夏に山下がグループを離れ、いきものがかりは吉岡と水野の二人体制になっています。それでも、この日に並んだ曲を辿ると、三人で歌い始めた頃からのつながりが浮かびます。体制変更の公式発表
「夏色」を歌って始まった関係が、「イロトリドリ」で同じ録音に重なり、「YELL」では先輩が後輩の歌を受け取る。二組をつなぐのは、神奈川出身という共通点に加えて、互いの歌に手を伸ばしてきた時間です。
水野やいきものがかりがほかの音楽家と歌を持ち寄る姿は、『クリスマスの約束2009』の「22'50"」にも残っています。そして『ゆずイロハ 1997-2017』には、SEKAI NO OWARIと共演した「悲しみの傘」も収録されています。ゆずの歌が別の音楽家に出会う道は、その一曲へも続いています。公式収録曲一覧