「ペケペケ」には二人の歌声がある
ユニコーンの「ペケペケ」で歌うのは、ベーシストのEBIこと堀内一史と、奥田民生です。作曲した奥田からEBIへ曲が渡るだけでなく、二人が歌唱を担うところに、この曲のつながりがあります。『PANIC ATTACK』の紹介記事でも、二人のツインボーカルに触れられています。
「ペケペケ」を収録した『PANIC ATTACK』は、1988年7月21日発売。1986年に広島で結成され、1987年に『BOOM』でデビューしたユニコーンの、二枚目のアルバムです。公式年表を辿ると、デビュー翌年には、奥田に加えてEBIの声も前へ出る曲が発表されていたことがわかります。
現在の5人のメンバーでは、奥田とEBIだけが1965年生まれの同い年です。
川西が詞を書き、奥田が曲を書き、二人で歌う
作詞は川西幸一、作曲は奥田民生。『EBI セルフセレクション』の曲別クレジットでも、この分担を確認できます。奥田は曲を書く人であると同時に、EBIとともに歌う人でもあります。
その組み合わせは、後年のステージにも続きます。2018年7月15日の「J-WAVE LIVE SUMMER JAM」について、主催者のライブレポートは、「ペケペケ」でEBIと奥田が掛け合いのボーカルを披露したと伝えています。こちらは1988年の録音とは別の、公演での記録です。
詞を書く川西、曲を書く奥田、歌唱を担うEBIと奥田。一曲の中で役割は重なり、普段の担当楽器だけでは見えてこない組み合わせが生まれています。
EBIが振り返る、歌うことへの戸惑い
もっとも、EBIは最初から率先して歌いたかったわけではないようです。ユニコーン公式サイトに掲載された取材の回想で、EBIは、メンバーも歌うという流れを作ったのは奥田だったと説明しています。当時は楽しむ余裕がなかったとも振り返る一方、バンドが自分のいろいろな面を引き出してくれたことへの感謝も語っています。
これは「ペケペケ」一曲の録音手順を説明した発言ではありません。それでも、ベーシストがボーカルにも踏み出していった背景を、本人の言葉から知ることができます。二人の歌声に目を向けると、その後ろにあるメンバー同士の働きかけも見えてきます。
EBIのソロと、奥田の提供曲へ
2007年の『EBI セルフセレクション』では、最初に「ペケペケ」が置かれ、その後にソロの「デカダンスの虹」「八月の漂流者」「十九回目の普通」が続きます。バンドで歌うEBIから、ソロで歌い、曲も書くEBIへと辿れる曲順です。高橋幸宏が編曲した二曲については、『MUSEE』の記事で紹介しています。
奥田の作曲をバンドの外へ辿るなら、小泉今日子との二曲も入口になります。「月ひとしずく」の作曲は井上陽水との共作、「オトコのコ オンナのコ」の作曲は奥田。こちらは奥田の公式参加作品一覧で確認できます。
同じEBIと奥田でも、「ペケペケ」では一緒に歌い、別の作品ではそれぞれが違う作り手や歌い手と出会っています。二人の声が交わる一曲から、次にどちらの作品へ進むかを選べるのも、この曲を入口にする楽しさです。