秦基博、スキマスイッチ、山崎まさよし。それぞれの歌を聴いてきた人にとって、福耳は、その声が一つの作品で出会う場所です。歌う人、曲を書く人、音をまとめる人。その役割をたどると、よく知る三組から、さらに別の音楽家へと道が伸びていきます。
始まりは、杏子、山崎まさよし、スガ シカオの三人
福耳の出発点は、1998年4月12日のZepp Sapporoのこけら落とし。杏子、山崎まさよし、スガ シカオが共演し、杏子の楽曲「星のかけらを探しに行こう」を歌いました。オフィスオーガスタの森川欣信は、この共演をきっかけに、三人でのリリースを考えたと振り返っています。森川による当時の回想
翌1999年7月14日、「星のかけらを探しに行こう Again」が福耳名義で発売されます。もともと一人の持ち歌だった曲を、仲間と歌う。その始まりから、参加する顔ぶれは作品とともに広がっていきました。公式ディスコグラフィ
現在の公式Artist一覧には、三人のうち杏子と山崎まさよしに加え、COIL、あらきゆうこ、元ちとせ、スキマスイッチ、長澤知之、秦基博、さかいゆう、松室政哉、竹原ピストルが並んでいます。過去の参加者と現在の一覧は、分けて見ると歩みがつかみやすくなります。福耳公式Artist一覧
「八月の夢」で重なる五人の声
三組のつながりを一曲から聴くなら、2018年の「八月の夢」へ。歌唱を担うのは、杏子、山崎まさよし、元ちとせ、スキマスイッチの大橋卓弥、秦基博の五人です。作詞・作曲はCOILの岡本定義、サウンドプロデュースはスキマスイッチが担当しました。制作と歌唱の公式クレジット
大橋は歌い手として名前が載り、常田真太郎と組むスキマスイッチは音をまとめる役割を担う。山崎と秦の声がそこに加わる。三組が同じ曲に参加していても、担っている役割は一様ではありません。作品ページのクレジットから、それぞれの参加の仕方を追えます。
この曲の配信開始は2018年8月1日。同月22日発売の『ALL TIME BEST ~福耳 20th Anniversary~』に収録されました。下に示す年齢は、先に配信された8月1日時点です。配信開始の告知
曲ごとに、作る人も変わる
福耳をたどる面白さは、歌う人だけでなく、制作を担う人も作品によって変わるところにあります。2017年の「ブライト / Swing Swing Sing」では、山崎まさよしがプロデュース。「ブライト」の詞曲を長澤知之、「Swing Swing Sing」の詞曲を秦基博が担当しました。「八月の夢」では歌い手として並ぶ山崎と秦に、別の役割からも出会えます。レーベルの商品紹介
さらに公式ディスコグラフィをさかのぼると、「LOVE & LIVE LETTER」ではさかいゆう、「イッツ・オールライト・ママ」では作詞の岡本定義と作曲の松室政哉へとつながります。気になる曲を見つけたら、その曲を書いた人の作品へ進んでみる。福耳には、そんな聴き方の入口もあります。各曲の制作クレジット
COILの歌を、それぞれの声で
「八月の夢」を書いた岡本定義を起点にすると、もう一枚のアルバムが見えてきます。2018年8月22日に発売された『シンガーとソングライター ~COIL 20th Anniversary~』です。COILのデビュー20周年に、岡本が全曲を書き下ろし、プロデュースも担当しました。アルバムの公式紹介
このアルバムでは、山崎まさよしが「エーゲ海でお茶を」、スキマスイッチが「雨天決行」、秦基博が「あぶない部下と危険な上司」を歌います。一曲に声を重ねた「八月の夢」から、同じ書き手の曲をそれぞれが歌うアルバムへ。三組をつなぐ線が、別の形で見えてきます。
制作を支える顔ぶれにも注目です。あらきゆうこがドラムで参加し、COILが歌う曲には浜端ヨウヘイ、松室政哉、村上紗由里がコーラスで参加しています。作品の紹介に並ぶ名前から、歌声だけでは気づきにくい参加者にも出会えます。参加者と収録曲
COILは、岡本と佐藤洋介の宅録ユニットとしてデビューし、佐藤が2014年4月に脱退した後は、岡本のソロユニットとして続いています。福耳から書き手へ、その書き手の活動へとたどると、曲の背景が少しずつ広がっていきます。COIL公式プロフィール
知っている一人から、次の一曲へ
秦基博からなら、森山直太朗と歌う「70億のピース」。スキマスイッチからなら、『re:Action』で出会う音楽家たち。山崎まさよしからなら、斉藤和義とのつながりと「斉藤さん」へ進めます。
三組を結ぶ福耳から、杏子、元ちとせ、岡本定義へ。歌を聴き、誰が書き、誰が一緒に作ったのかを眺める。その繰り返しが、次に聴いてみたい一曲へつながっていきます。