NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で流れる「Progress」。スガ シカオの声を入り口に、この曲を知った人もいるでしょう。その歌を一緒に作ったのが、5人のバンド、kokuaです。
歌う人から、鍵盤、ギター、ベース、ドラムを奏でる人へ。名前をたどると、「Progress」の先に、それぞれが曲を書き、音をまとめる一枚のアルバムが見えてきます。
番組の主題歌から始まった5人
kokuaは2006年、番組の主題歌制作をきっかけに結成されました。ボーカルのスガ シカオ、プロデュースとキーボードの武部聡志、ギターの小倉博和、ベースの根岸孝旨、ドラムの屋敷豪太。「Progress」の詞と曲をスガが書き、武部と小倉が編曲しました。公式プロフィール
武部はインタビューで、番組のために、演奏もプロデュースも担う人が集まるバンドを構想したと振り返っています。バンド名を考えたのはスガ。ハワイ語の協力や協調という意味を、この5人の関係に重ねた名前でした。5人が語る結成の経緯
シングル「Progress」が発売されたのは、2006年8月2日。まずは、このときの5人の年齢とともに、出発点を眺めてみます。公式ディスコグラフィ
10年後のアルバムで、それぞれが書き手になる
2016年6月1日、kokuaは初のアルバム『Progress』を発売します。全12曲の最初に置かれたのは「夢のゴール」、最後は「Progress」。同じ曲名を持つ2006年のシングルから、アルバム一枚へと歩みが広がりました。アルバムの公式情報
「夢のゴール」はスガが詞と曲を書き、武部と小倉が編曲した曲です。スガは、「Progress」に登場した人のその後を考えて書いたと説明しています。二つの曲の間にある時間を意識すると、アルバムの始まりと終わりにも、つながりが見えてきます。スガが語る「夢のゴール」
そして、このアルバムでは、ほかの4人も曲作りを担っています。屋敷が作曲・編曲した「1995」、武部によるインストゥルメンタル「BEATOPIA」、小倉が詞と曲を書いた「道程」、根岸が作曲・編曲した「黒い靴」。4人は、それぞれの曲のプロデュースも担当しました。「1995」と「黒い靴」の詞はスガによるものです。特設ページの制作クレジット
歌い手と演奏者の名前を覚えたところで、今度は「誰がこの曲を書いたのか」を見てみる。ドラムの屋敷から「1995」へ、ベースの根岸から「黒い靴」へと進むと、一人の音楽家の別の役割に出会えます。
小倉博和は「道程」で歌う
なかでも「道程」は、ギタリストの小倉を別の角度から知る入口です。小倉が作詞・作曲・編曲を手がけ、この曲ではスガとともに歌っています。演奏を支える人として名前を知っていた小倉が、歌の書き手にも、歌い手にもなる一曲です。小倉とスガが語る「道程」
小倉は、佐橋佳幸とのギターデュオ・山弦や、Bank Bandでも活動しています。山弦の公式プロフィール
kokuaで気になったギターから、高野寛と山弦のつながりへ。あるいは、小倉博和とBank Bandへ。同じ人をたどっていても、隣で音を鳴らす顔ぶれが変わると、次に聴く作品の候補も広がっていきます。
2021年、同じ5人で「Progress」をもう一度
2021年には、スガの作品として「Progress」の再録版が発表されました。録音にはkokuaのメンバーが再びそろっています。12月7日に先行配信され、12月22日発売の『Sugarless III』に収録されました。先行配信の告知/公式特設ページ
スガはラジオで、同じ譜面や楽器、エンジニアで録っても、15年を経ると以前と同じ音にはならなかったと話しています。再録を振り返るスガの発言
2006年の「Progress」、各人が曲を持ち寄った2016年のアルバム、そして2021年の再録。同じ5人の名前を確かめながら聴き比べると、曲と人の歩みを一緒にたどれます。
スガからもう一つの共演へ進むなら、福耳の始まりと、参加する音楽家たちへ。知っている声やギターを手がかりに、次は誰の曲を聴いてみるか。kokuaの5人は、その入口になってくれます。